専門医が答える むずむず脚症候群Q&A

監修:
伊藤 洋 先生
東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 院長
東京慈恵会医科大学精神医学講座 教授

Qは追加更新予定です

疾患

むずむず脚症候群の症状はどのようなものですか?

A
むずむず脚症候群では、脚にむずむずするような不快な異常感覚や痛みを覚え、脚を動かしたいという衝動にかられます。この異常感覚は、脚の表面ではなく内部に生じるのが特徴で、患者さんによってはこの異常感覚を、ほてる、しびれる、虫が這うなどの言葉で表現する人もいます。これらの症状は、動かないでじっとしている時にあらわれたり強くなり、脚を動かすことでやわらいだり消失したりします。また夕方から夜にかけて症状が強くなることが多く、さらに就寝中に脚が無意識に“ぴくんぴくん”と動く、いわゆる周期性四肢運動を伴うことも多いため、睡眠が妨げられ不眠を生じます。結果として日中の眠気や疲労があらわれて、日常生活に支障をきたす場合があります。 眠っている間に、本人の意思とは関わりなく周期的に脚の関節などがピクつく運動で、むずむず脚症候群の患者さんの80%以上にみられる。

むずむず脚症候群の原因はなんですか?

A
むずむず脚症候群は原因が特定されていない特発性(一次性)と、他の病気や薬が原因で起こる二次性があります。一次性はまだはっきりしたことはわかっていませんが、①遺伝的なもの、②鉄不足/体内での鉄代謝に異常がある、③ドパミン神経系の障害などが考えられています。二次性の場合、鉄欠乏性貧血や慢性腎不全、パーキンソン病などの病気や、抗精神病薬などの薬によって症状を引き起こすことがあります。

むずむず脚症候群の患者さんは、どれくらいいるのですか?

A
日本人における有病率は2~5%、つまり20~50人に1人程度がむずむず脚症候群であると言われており、けっしてまれな病気ではありません。この病気は女性の方が男性よりも1.5倍程度多く、また患者さんは40歳代以上の中高年で急激に増加し、年齢が高くなるほど増加していく傾向があります。多くはありませんが、小児や児童でもむずむず脚症候群になることがあり、学校の授業に集中できないなど日常生活に影響が出る場合もあります。

症状が脚以外の部位にあらわれる場合があるのですが、むずむず脚症候群でしょうか?

A
むずむず脚症候群の症状は主にふくらはぎや太もも、足裏などの脚にあらわれますが、病気が進行すると徐々に腕や腹部、また肩や胸、顔面などにもあらわれることもあります。ただ、この病気は最初に脚に症状があらわれることが多く、脚に何らかの異常感覚があることで診断されます。大抵両脚に症状がみられますが、片脚だけの場合もあります。

診断

むずむず脚症候群の診断ではどんな検査がありますか?

A
むずむず脚症候群は、通常問診をもとに診断されます。他の病気との鑑別診断では血液検査を実施し、鉄欠乏の状態(一部の患者さんでは鉄欠乏が原因で発症)や腎障害、尿毒症などの有無を調べます。また補助検査として、一泊入院して受ける「終夜睡眠ポリグラフ検査」や、家庭環境で実施できる「アクチグラフ検査」などがあり、睡眠の深さや持続時間、周期性四肢運動の有無などを調べることがあります。 眠っている間に、本人の意思とは関わりなく周期的に脚の関節などがピクつく運動で、むずむず脚症候群の患者さんの80%以上にみられる。

何科を受診すればよいですか?

A
むずむず脚症候群は睡眠と深く関係していることから、主に睡眠障害を専門に治療している睡眠専門医や、睡眠障害を扱う精神科・神経内科で治療されています。まずはこれらの科を受診することをお勧めします。

治療

むずむず脚症候群を治療しないとどうなりますか?

A
むずむず脚症候群は、軽症の場合には日常生活の工夫などで一時的に症状が軽くなることもありますが、治療しないで放置すると、多くの場合再発したり悪化したりします。なるべく早めに受診して、適切な治療を受けましょう。他の病気や服用している薬が原因で起こる二次性むずむず脚症候群では、原因となっている病気(貧血や腎不全、パーキンソン病など)を治療することで、症状が軽くなる場合があります。

むずむず脚症候群の治療で薬を服用していますが、症状が悪くなってきました。
どうすればよいでしょうか?

A
現在、日本でむずむず脚症候群の治療に使われる薬はいくつかあります。服用している薬で効果が十分でない場合や、副作用などで薬が飲みづらい時は、自分で勝手に判断せず、すみやかに医師や薬剤師に相談することが大切です。

生活

むずむず脚症候群の症状を抑えるために、日常生活で気をつけることはありますか?

A
むずむず脚症候群の患者さんは不眠を伴うことが多いので、睡眠の量や質を損なわないよう、また症状を悪化させないためにも、コーヒーなどカフェインを含む飲み物やアルコール、タバコは控えるよう心がけましょう。またウォーキングやストレッチなどの軽い運動を日常に取り入れることもよいことです。何かに夢中になることで症状が軽減する場合もあるので、熱中できる趣味を見つけることもよいでしょう。また、就寝前に温かいお風呂や冷たいシャワーを浴びるのが、効果的であることもあります。
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